12/28(土)晴れ 感想文

昨日は1227日、「男はつらいよ」最新作の公開初日でした。


寅さんの良さはあのシリーズを観続けた人にしか分からないと思うし、最新作の「おかえり寅さん」の本当の素晴らしさも分からないと思うので、誰にでもオススメはしないけど、もし、寅さんを何作品か観たことがあって、寅さんって本当にしょうがない人だなぁって笑いながら言える人はぜひ観に行って欲しいなぁと思う。

あらすじは、私にとってはどうでも良くって、そして、後半の寅さんシリーズのように、それはもはや満男の恋の話で、寅さんは当たり前だけどもう出てこなくって、おいちゃん、おばちゃんもたこ社長もいなくって、でもひろしとさくらはいる。そして、リリーさんがいる。なんて当たり前で悲しい事なのだろうかと思う。変わっていくのだけど、変わらないところもあるという、人の営みの流れを少しだけ長く観ることは、とても愛しいことだなぁと思った。

よく思うのだけど、映画でも本でもいいけど、シリーズ物を観る(読む)ことは、想像以上に大きな恩恵を受けると思う。

自分の生活にコンスタントに現れる登場人物たちが、現実世界とはまた別の世界でそれぞれの物語を生きていて、泣いたり笑ったりを繰り広げている。それを観て(読んで)、また自分の生活に戻り、自分も泣いたり笑ったりの中で、物語の人々を思い出しながら暮らしていく。そして、新しいシリーズが出て、新しい彼らの物語を知る、また自分の生活へ戻る。その繰り返しをしばしの間(シリーズが終わるまで)続ける。それは言ってみれば一緒に生きているようなもので、たまに会って近況を話す友人のようなものになっていく。それは本当に幸せな体験だと思う。

寅さんはとても長い間、一年に二回、夏と冬に映画が上映されていたし、テレビで何度も放送されていたので、全作は観てなくっても目にした人は少なくないと思う。きっと寅さんがほんの少しでも人生の一部になっている人がたくさんいるだろう。

私は、リアルタイムでは観ていなくって、渥美清さんが亡くなった後から観始めた。全作は観てないけど、何度も観ている好きな回もあるし、大体だけど話の内容も覚えている。

生きていて、どうしようもならないような事を考える時、たまに寅さんの人生を思うことがある。寅さんが寅さんとして生きた人生を思うと、「あぁ、そうね。とりあいず笑って歩きだそうかね。」と思う。動き出せばどうにかはなっていくし、嘘でも笑っていれば風向きも変わる。

映画館のスクリーンの中で(過去の映像ではあるけれど、)自由に生きていた寅さんを観れて良かった。今までテレビ画面で過去を追いかけるように観ていたので、やっと追いついたような気がした。でも、そこにいるのはやっぱり過去の寅さんで、それでも、満男がいたから、ちゃんと「男はつらいよ」というシリーズで、それがとても感慨深かった。副題が「おかえり 寅さん」だったけど、私の中では「さよなら 寅さん」だった。何となく、ちゃんと寅さんとさよなら出来たような気がする。それでも、たまに哀愁漂うその背中を思ってしんみりするだろうなと思う。そして、寅さんとして生きた渥美清さんのことを思って、またしんみりするのだろう。私にとって2019年というか、一つの時代を締めくくるフィナーレのような素晴らしい映画だった。

長くなりましたが、寅さんが好きな人はぜひ映画館へ。

そして、シリーズ物は一生の友ですよ。好きなシリーズを見つけたら大事に観続けて(読み続けて)ください。きっとあなたを助けてくれる時があります。